穴ぐらダイアリー

読んで字の如く。

別物

以前ポテトサラダの話を書いたが、久しぶりにまたコウケンテツさんの料理動画を見て、作ってみた第二弾はコレ、

『ワンパンで作るチキン南蛮』


「鶏肉は裏切らない」とのテーマで、色んな鶏肉料理をレクチャーするというシリーズになるのかな。他を見てないから分からないけれど、パッと引きつける言葉やコンテンツの出し方が、さすがはセンスだなとこの一言で感心する。

そう、安くておいしい鶏肉は期待を裏切らない。手を掛けただけ、というのじゃなく、簡単でも部位に合った調理をすれば、お値段以上のご馳走になるのが偉い。



今回のレシピ考案にはコウさんいわく、次のような理由があった。
一、家庭でチキン南蛮を作ろうとすると、下拵えした鶏肉を揚げて南蛮酢に漬け、さらにタルタルソースも用意しなければならないので大変。
二、揚げた鶏肉にさらにタルタルソースは、ちょっと重すぎるのでは?


先に二に関して言うと、元祖チキン南蛮はタルタルはなしだ。宮崎市から二時間大分県寄りに位置する延岡市にあるそのお店は、現在もそのスタイルを貫いている。
南蛮にはタルタルソースという定番を作ったのは、宮崎市が本店のおぐらチェーンという地元ファミリーレストランではないかと思う。
と言っても、そこのタルタルはマヨ味と一言ではいえない独特なオリジナルソースだった。
たしかに皿からはみ出そうな甘酢漬けチキンにたぁ〜っぷりかかって出てくるソレは、食べ進むごとに物凄く重たいのだけど、昭和子供時代にアレで育った口には、郷愁としか言いようのない絶妙な組み合わせなのだ。
まさに「こ・れ・だぜ…!!」というような。


さて、子供の頃から実家で食べていた母のチキン南蛮には、幾つかの行程があった。
甘酢作り→タルタルソース作り→鶏肉下拵え→食べる直前に揚げる→揚げたてを甘酢にサッと漬け込み盛り付け

コウさんのはそれらの行程を換骨奪胎し、フライパン一つで出来るようにしたものらしい。
たしかに面倒な下準備は、少なければ少ないほど、作るハードルが下がるというもの。それで遜色ないおいしさならば、全国的にチキン南蛮が家庭料理の仲間入りを果たせるか?


かくして動画を最後まで見て、早速試してみた。

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結論から先に言うと、あくまでも個人的な意見だと断った上で「これはチキン南蛮とは別物のおいしい👍‼️鶏肉料理」だった。
見た目はわりと同じように見えるけれど、夫が食べた時の第一声も、
「これはまた違う料理だね!」


まずは鶏ムネ肉を幅広にスライス。軽く塩をしたものに小麦粉→溶き卵の順につけてというところは同じ(ちなみに地元ではモモ肉で作る人や店も多い。母はモモ派)。
だがコウさんレシピは揚げるのではなく、多めの油で揚げ焼きにする。つまりチキンピカタなのだ。ムネ肉を切るところで断面を広くとるようにスライスする理由はここにあった。
揚げ焼きしながらボウルに残った卵液をかける「追い卵」して厚みを出す。裏返して焼きつつ、キッチンペーパーで余分な脂を吸い取る。

そしてフライパンにあらかじめ作っておいた甘酢タレを回しかけてサッと煮からめる方法。タレには片栗粉少々が入っているので、衣に染み込まずうまい具合に絡む感じ。酢豚の要領だがワンパン南蛮に取り入れる工夫がすごい。

皿に盛り付けたら、タルタルソースの登場。これまたコウさんのおすすめは、なんと「卵を使わない」
要するにマヨネーズに醤油や砂糖、酢を混ぜたソースにみじん切り玉ねぎのみを加えたもの。
上にかけたら、仕上げに青ネギの小口切りを散らすというのも、完全なオリジナル。

ピカタだと、揚げたチキンを噛んだ時の「ジュワッ」と感が今一つ。
ソースは好き好きだから、これはこれであっさりして良い。



視聴して作った方のコメントを覗いてみたら、皆さま大絶賛。中には宮崎の方も居て、
『譲れない母の味は守るとして、このチキン南蛮も作ってゆきます』
というような書き込みがあった。私も同意見だ。ワンパンではいかないけど、あの手順と共に私も旧式レシピの味わいは守り伝えてゆきたいと思う。
コウさんのネオ?チキン南蛮は、塩とハーブ風味のチキンピカタしか作ってこなかった私の堅い頭には新鮮だった。
この方法で油を胡麻油にしたりかけるソースを変えたりすれば、中華味その他にもアレンジ出来る。コウさんのシンプルにして目の付け所が違うアイデアに刺激され、色んな発想につながった。


こんな動画をプロの方々が惜しみなく公開してくださることに感謝します🙏🙏🙏💖✨